パイ豚塩漬肝ソース掛け

東迎 高清
おおさか料理 浅井東迎  

『㐂川 浅井』にて、“おおさか料理”を学び、10余年の長きに渡り支店を預かった後、2008年に独立。3階建ての店は、割烹の真髄・カウンターはもちろん、テーブル、個室になったお座敷まで調う。若い料理人を大勢抱え、その育成にも余念がない。故郷・沖縄県与那国島の長命草を使った手打ち蕎麦は〆の名物になっている。

伝統的な沖縄食文化を大阪料理に活かす

沖縄はかつては昆布の消費量が日本一であった。 ただし出汁の大阪とは違って、 昆布そのものを食する文化。 民俗学的にも沖縄には様々な日本文化のルーツを見ることができる。 東迎会員が沖縄のアグー (在来) 豚の試作料理を発表するのは二度目となる。 前回は下処理法として米と豚肉との相性を活かしたものであったが、 今回は塩漬けと豚肝の牛乳を使った下処理法が発表された。 豚肉も沖縄北部(東村)で育てられたブランド豚で知られるパイ豚。 料理名のスーチカーとは、つまりは 「塩漬け」 の意。沖縄では野菜を漬けるといった文化はないが、 その代わりに豚肉を塩漬けし保存食としてきた。 手法はいたってシンプル。三枚豚肉にベタ塩をし常温熟成させるのだが、 その塩加減や塩蔵期間に長年培われたコツがある。 沖縄の料理をそのままでは、 大阪料理にはならない。 ここでは塩漬けした豚肉を大阪好みに食感よく戻し、 さらに下処理した豚の肝を使って特製のペースト状のソースを創り出している。 米味噌・醤油・ワインそしてバター等を合わせた掛けダレは見事な大阪料理として仕上がっている。

総評

「とても塩漬けされていた豚肉とは思えない旨さと柔らかさがある」 「この豚肉ならシャブシャブにしても美味ではないか」 といった声が多くあり、パイ豚 (とん) への質問が続いた。「パイナップルを飼料にして育てられているだけに、 脂が甘くそして柔らかい」 とする説明が東迎会員からなされた。 運営委員からは 「この豚肝ソースは、 ほどよい酸味と旨味が渾然一体となっている、 料理の和え衣としても充分に使えるのでは」との感想が寄せられていた。

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