河内鴨と泉州玉葱の取り合わせ椀

守屋 栄一
おおさかもん料理 鮨 守屋 

一椀に取り合わせる、ふたつの大阪食材の妙。

琵琶湖の真鴨を好物としていた太閤秀吉。その味わいを大阪の地でも味わいたいと大阪における鴨の飼育を命じた。これにより大阪では松原地区などで鴨の養殖が非常に盛んになり、関西ではこれが家鴨(アヒル)として親しまれ、関東では俗に間鴨(あいがも)と呼ばれるようになったとされている。
今回の試作は、そんな大阪になじみある河内鴨と泉州の玉葱との様々な取り合わせを一椀に仕立てている。河内鴨と泉州玉葱という両大阪食材同士の相性がいかなるものか、試みとしてはユニークで食べ手の興味をそそるものがあるといえよう。
先ずは、鴨肉だが挽肉を使った鴨そぼろを作る。次に、スライスしておいた玉葱を調味し吉野葛で煉りあげ玉葱豆腐としている。鴨のロース部は一部を薄くスライスし、これに芽葱を巻き込んだ後に、吸地で霜振りにしている。こられを鴨ロースそして素揚げした湯葉と共に椀に盛り込み、出汁を張っている。

総評

「食後の感想としては、玉葱という食材がどのようなものにもマッチすることがわかった」「鴨肉は旨いが鴨肉ならではの脂の美味しさをもう少し際立たせた方がよかったのでは」などのコメントが寄せられていた。運営委員からは「発想は面白いが、椀種の個々の狙いが食べ手にうまく伝わっていない気がした。また付け合わせに葱は分かるが穂紫蘇は不要だったのではないか」とのアドバイスが聞かれた。

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