鯵の棒寿司 醤油麹たれ

守屋 栄一
おおさかもん料理 鮨 守屋 

大阪らしい鮨飯が鯵の魅力を引き出す。

鮨の歴史は、そのまま鮨飯の歴史でもある。もとは近江の有名な鮒すしに見るような醗酵の力を待った馴れ鮨から、酢を使った早鮨が発達し現代に至っている。棒鮨にも地域性があり、その大きな特徴は酢飯の味加減にあるともいえよう。
今回の試作は、鯵を使った棒鮨。鯵を三枚に卸し、強めの塩にあてる。塩が入った時点で、これを洗い流した後に酢に漬ける。鮨飯には胡麻と千切り生姜。卸した鯵は皮を剥ぎ棒鮨に押して一晩寝かす。鯵のアラは強塩し炭火で焼き上げ、これを鍋に移して昆布で出汁を引く。別途作っておいた醤油麹を鯵出汁とあわせ付醤油としている。
元来、大阪の鮨飯は甘めである。それは洗いあげた米に対して、真昆布出汁そして味醂少々を加えて炊き上げたものに大して酢と塩を加減してきたからでもある。もちろん鮨もその種類や使用用途によって加減を変えている。観劇の幕間に食する鮨と土産に持って帰る鮨とでは、保存性の面からも自ずと加減が変わってくる。しかし、酢飯のベースとなっている部分にある真昆布と味醂のまったりとしたほの甘さこそが大阪鮨の変わらぬ味なのではなかろうか。

総評

「保存性を考えたからかどうかは分からないが、塩味が強いような気がする」「醤油麹は面白いが、その塩味が主張しすぎているのではないか」などの評が聞かれた。運営委員からは「今回はテーマは鯵なので、やはりその鯵の生の旨さを引き出す工夫が必要だったように感じた」とするアドバイスなども寄せられていた。

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