

広里 貴子
(有)貴重
辻調グループ校の日本料理技術講師を経て(有)貴重を設立。ごちそうプロデューサー®
として、料理講習会や企業様・地域の食にまつわる協力、またドラマ・映画等の料理指導、コーディネートも長年担当。
持続可能な食を目指して料理人からつむぐRelationFish株式会社の取締役兼務
大阪料理と長年向き合う中で郷土料理と地元の食材の大切さ常に念頭に置いて活動しております。大阪料理を充実したものにするには温故知新が大切。メンバーと共に研鑽させていただいております。
大阪産の季節の食材、その魅力を一丸に捏ねる
大阪湾で鯵が美味になる頃、ちょうど泉州では早生の玉葱が最盛期を迎える。日本における玉葱の発祥の地でもある泉州地域では、今も多くの玉葱が栽培されている。今回の試作では、こうした旬の里山の幸をあわせた捏ね揚げを試作。またもう一品としてこちらも最盛期を迎えた羽曳野の碓井豌豆を使ったペースト餡。先ずは、鯵を三枚におろした後に塩をし、早生玉葱と実山椒をみじん切りに。トマトは湯むきした後にトマトウォーターをとっている。鯵の骨やアラを高温で焼き、そこから出汁を引きトマトウォーター等をあわせ調味したものをゼラチンで固めることで捏ねの鋳込みの具種としている。すり身にした鯵に先の玉葱や実山椒等をあわせ、少し大きめに切った鯵の身肉を共にあわせ混ぜる。これを、米粉や炒って砕いた道明寺粉をつけて揚げている。鯵や玉葱の旨味を含んだゼラチンが捏ねの中で溶け出す趣向となっている。ペースト状にした碓井豌豆にも鯵や玉葱の出汁が効いている。季節の大阪産ならではの山海の食材を捏ねという形でひとつにまとめたユニークな試作といえよう。
総評
「形は捏ねだが、食べ方としていろんなバリエーションが楽しめるのではないか」「鯵と玉葱の相性の良さを再確認した」などの評が寄せられていた。運営委員からは「せっかくの鯵料理だったが、すり身の量が少し足らなかったのではないか」「道明寺粉を使うというのは面白いと思うが、今回は生っぽさが残ってしまっていて堅さも感じた」との評と共に会長からは「捏ねにハンバーグの肉汁のようなイメージを重ねたのかもしれないが、そこにこだわらない方がよかったと思う」とのアドバイスもなされていた。

