錦秋なにわ茸料理二種

杉本 亨
浪速割烹 和亨  

杉本亨1970年(昭和45年)、大阪生まれ。15歳で京都の料亭に入る。その後、師匠である上野修三氏の料理に見せられて、『浪速割烹 㐂川』に入り、その師匠が営む『天神坂 上野』を経て、99年(平成11)年に大阪・宗右衛門町で『浪速割烹 和亨』を開店。師匠の〝浪速割烹〟を受け継いでいけるように日々探求し、浪速の味を大切にしてます。

始末の心で茸を使い尽くす浪速料理。

わが国における椎茸栽培は菌床栽培が8割以上で原木栽培が2割弱となっている。今では希少ともなりつつある原木椎茸だが、大阪府はその栽培法発祥の地としても知られている。そんな茸好きの大阪においては、椎茸に限らず茸類は秋の市場を賑わす食材であることは今も昔も変わりはないようだ。
ここでは、色とりどりの茸を使っての浪速料理が二品試作された。ひとつは、干し椎茸を使った海老団子の餡掛け。椎茸は乾燥させることで香りと栄養価が格段に高くなる。そんな乾燥椎茸の軸の部分をおろしにかけ裏漉しパン粉と合わせ団子の衣にしている。団子は烏賊のすり身にゲソ部分などと山の芋などを加え真薯に。海老は大阪好みの足赤海老を上身とする。真薯に海老と椎茸薄切りを合わせ丸にとり、先ほどの椎茸衣を纏わせている。もう一品は茸和え。乾燥椎茸の笠だけをもどして炊き同じく舞茸に滑子も炊いておく。木綿豆腐を羽二重にし調味した衣で和えている。いずれの料理も乾燥椎茸を余すところなく活用。始末の心が随所にみられる大阪料理といえよう。

総評

「処理が難しい乾燥椎茸を見事に使いこなしている」「茸の香りを引き立たせる料理」といった賛辞が多く聞かれた。
運営委員からは「椎茸の軸を重曹で柔らかく時間をかけてもどす作業など、いずれも手間のかかる仕事がきちんとなされている。また海老団子の海老の旨味に加え烏賊の弾力感も見事。欲をいえば銀餡にも椎茸を加えるとさらに良かったのではないか」とのコメントが寄せられていた。

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