

松尾 英明
千里山「柏屋」
1962年、大阪府生まれ。関西学院大学を卒業後、滋賀の名料亭『招福楼』で修業。92年、実家の日本料理店『柏屋』料理長に。2021年、龍谷大学大学院の農学研究科修士課程を卒業。23年、農林水産大臣より「料理マスターズ ゴールド賞」、24年に「卓越した技能者(現代の名工)」を受彰。「大阪芽生(めばえ)会」会長、「全日本・食学会」常任理事などを歴任し、「RelationFish株式会社」取締役副社長COOを務める。「大阪料理会」運営委員として会では様々な提案を行っている。
春の前菜に相応しい彩りと味わいの互 (かたみ) 替わり
片身替わりとは文様の世界において使われるが、 大阪においては互 (かたみ) という字をあてる。 たがいに異なったものがひとつになることでそのメッセージ性を高めるのだ。 今回の試作においては春の彩りを食べ手に伝えるという趣向と、 さらにはこの後に続く料理にも、 こうした互違いの面白さを予感させる。 前菜として位置づけられるであろうこの料理の両主役は大阪羽曳野市の碓井豌豆とホワイトアスパラ。 いずれの食材も塩加減が大きなポイントとなる。「春苦味 夏酢ノ物 秋辛味 冬は油と合点して喰え」 とは食養学でよく云われる。それだけに炭酸や塩などは味を引き出す程度にし苦味を抜きすきすぎないように心がけたい。 擂り流しは、 豌豆は二番出汁でアスパラは煮切り酒と塩で味や濃度を加減し、 その下には煮切り酒で戻した唐墨と毛蟹のほぐし身を配することで、春の味わいに大きな旨味を加えている。
総評
「春というメッセージ性の高い料理」「唐墨を煮切り酒でもどすというのも面白い」といった評が多く聞かれた。畑会長からは 「アスパラを太白で炒めているが、 素焼きにした方がより甘味が出たのではないか。 またせっかくの毛蟹等がもう少し目でも楽しめる工夫があれば、 さらによかったのではないか」 とのアドバイスがあった。



