三色野菜と テンペ湯葉揚げ精進餡

長内 敬之
旬鮮和楽 「さな井」  

精進料理を時代に合わせ大阪風に進化させる

世界的に代替肉としての大豆食品が注目を集めている。 今回の試作で使用されたテンペもまたそのひとつとされるインドネシアの大豆発酵食品。 現地では揚げ物などが主流とされるが、 この食材に日本料理の技と食材をうまく組み合わせることでそこから新しい味わいや魅力を見いだせないか、 とするのが試作の狙いだと思われる。 また最近、 大阪料理会でよく用いられる野菜出汁との相性も試されている。テンペは油で炒めた後、 淡口と砂糖で下味を付ける。 次に、 これをパプリカや三度豆と共に野菜出汁で寄せた後に、 湯葉で巻き揚げている。 精進餡には野菜出汁を中火で七割ほど煮詰め、 旨味を凝縮させさらに味のアクセントとして黄ニラの香味を効かせている。ヴィーガン対応ということだけでなく、 これからの日本料理店は昆布鰹出汁以外にもこうした野菜出汁を常備する必要がありそうだ。

総評

「野菜出汁とは思えないほど旨味がしっかりしていて驚いた」 「トマトの酸味がよい仕事をしていると感じた」などの感想が寄せられていた。ヴィーガン料理以前に日本では優れた精進料理文化が培われてきている。 この精進料理をさらに時代に合ったものへと進化させていくことも大阪料理のひとつの方向性なのだろう。

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