

山本 英
はしま
1977年、大阪市生まれ。中央大学英文学科を卒業後、22歳で父が営む『はしま』に入店。和食の基礎を学び、25歳で店長に。「コースの中でいろんなタイプの“美味しさ”を表現したい」と意欲を燃やし、京橋では希少な日本料理店として人気を獲得。大阪料理会では、探究心旺盛な40代として活躍が期待されている。
塩焼きに代わる上方の名物鮎料理
かつては夏料理の花形であった鮎だが、長期的な需要低迷に加えて気候変動の影響か、養殖鮎の供給そのものも減少傾向にあるようだ。さらに外食事情の側面からは、骨が多く、食しにくい鮎が敬遠される傾向にある。当然、料理店においても、顧客の嗜好を無視できず骨を感じさせない稚鮎や若鮎を提供している店も少なくないだろう。今回の試作では、そうした若鮎を使った二火(ふたび)料理が試作された。
二火とは聞き慣れない言葉だが、つまりは二度熱を入れる料理。ひとつが揚げる、そしてもうひとつが焼く。山本会員の創意が生んだ面白い表現だといえよう。泳ぎの(若)稚鮎を先ず揚げ、煮切り醤油に塩水を吹き付けさらに炭火で焼く。余分な油も落ちヘルシーで食感も高まる、そんな狙いもあるのだろう。
今回は器に抹茶椀を使い、薄揚げの白和え、茶巾に仕立てた辛子味噌の茄子。そして春時期の真筍に塩水で火入れし作った自家製干し筍の旨煮を盛り込んでいる。天には蓼酢粥を効かせた二火鮎をのせ、最後に薄抹茶をたて、掛け回している。鴨川に桂川など京都の河川を駆け上る天然鮎はすべて大阪淀川の河口域で育った稚鮎。こうした淀川水系の稚鮎を京阪で活かし上方名物として二火料理で供してはどうだろうか。
総評
「鮎との取り合わせ食材が見事」「二火鮎とはネーミングが素敵すぎる」などの評が寄せられていた。運営委員からは「鮎の苦みに蓼の苦み、それらを抹茶の苦みで調和させる。で、あるなら抹茶はあえて濃茶としてごく少量で効かせた方が効果的だったと思う。しかしいずれにせよ、非常に完成度が高く汎用性のある料理」と、アドバイスに加え極めて高い賛辞が付け加えられた。




