

広里 貴子
(有)貴重
辻調グループ校の日本料理技術講師を経て(有)貴重を設立。ごちそうプロデューサー®
として、料理講習会や企業様・地域の食にまつわる協力、またドラマ・映画等の料理指導、コーディネートも長年担当。
持続可能な食を目指して料理人からつむぐRelationFish株式会社の取締役兼務
大阪料理と長年向き合う中で郷土料理と地元の食材の大切さ常に念頭に置いて活動しております。大阪料理を充実したものにするには温故知新が大切。メンバーと共に研鑽させていただいております。
昔ながらの調理法でアイゴの魅了を引き出す
未利用魚のひとつにアイゴがある。非常に変わった磯魚で、仔魚の時に硅藻や海藻など植物性の餌を食べ、大きくなるにつれて動物性のものを好んで食べる。よって大きいほどに味がよくなり脂がのる。アユはアイゴとは真逆で、成魚になるにつれ川石のコケを食べることから、九州ではアイゴを昔からウミアイ(鮎)と呼んできた。同様に三重ではアイ、高知ではアエの方言が残っている。出雲の国松江では、アユの仔をアイゴと呼んでいる。これら語源を辿っても昔の人が魚をどれだけよく見ていたかが分かる。
さて今回の試作ではそんなアイゴを使った二品。ひとつは焼き物。米麹に淡口、酒と味醂そして昆布を合わせた糠床に塩したアイゴを浸け込み一週間程度置く。発酵力を活かした調理ゆえに醸火焼きなのだろう。
もう一品は、いわばアイゴを使ったカブラ寿司風の菊花鮨。炊飯器を用いて糀床を作り、水茄子を薄く輪切りにし、生ずし状態にしておいたアイゴの上身を挟み糀床に漬け重ねるのである。
いずれも手間のかかる昔ながらの調理だが、このような時代だからこそ、料理屋でも手間が生み出す旨さを見直してもいいのではなかろうか。
総評
「アイゴの臭みなどが全く感じられない料理だった」「調味された糠床が、そのままひとつの料理となってるのに驚かされた」などの評が寄せられていた。
運営委員からは、二品共に「アイゴに限らずに活用できそうな汎用性の高い料理法。また食材としての糠のまろやかさや美味さに気づかされた試作」との賛辞が聞かれた。




